りんご剪定講習会
先日、青森県りんご協会の奈良正史先生を講師に招き、余市町の山本秀弘さんの園地で剪定講習会が開催されました。
この日は雪は降っていないものの、風が強く、非常に寒い日でしたが、余市町のりんご作りの生産者が集まり奈良先生の剪定を真剣に拝見しておりました。
ここ数年、異常気象と呼ばれるなか、りんごに限らず色々な果実の栽培が難しくなってきております。ここ余市町でも昨年のりんごの生産量は春先の天候不順等により、かなりの減収となり、また生産者の高齢化等もあり年々生産量は減少しております。
しかし、今回の講習を受けられた方には、まだまだこのままでは終わらないぞという気持ちがかなり感じられておりましたので、これからも期待が持てそうですね。
さて、剪定講習会の様子をご覧下さい。
まず園主の山本さんから園地の簡単な概要の説明をしてもらい、奈良先生の講習がさっそく始まりました。
剪定は10人やれば10人とも伐り方が違うと思いますが、奈良先生がまず最初に行ったのは方角の確認です。北はどちらか、南はどちらか。
南の方角にある大きな枝は北側の枝を日陰にするため、基本的には南側は小さく、北側を大きくというのが基本だよ。という事でした。
しかし、基本は上記の通りですが、実際にその逆に樹は成長をしてしまいます。
日光が良くあたる南側の成長が良くなってしまい、当然大きな枝をつけてしまうようです。
また、斬った切り口を観察して、切り口の中心あたりが黒くなっていると、根に何らかの障害があるとの事でした。今回剪定していただいた樹は黒くなっていなかったので安心ですね。
方角や、樹勢、昨年その枝に実がなったのか、なっていないのか、切り返すのか、間引くのか、などを判断し、とても手際よく、また良くわかりやすい説明の中、午前の剪定講習会が終わりました。
お昼からは農協へ場所を移し、栽培管理講習会が開催されました。
温暖化の影響もあり、様々な病気、害虫が大きな問題となってきております。
何点か写真で紹介します。
これは、モニリア病にかかった写真です。
余市町でも少しずつ増えてきています。
この実腐れ菌が雪の下で越冬し、雪が融けると1つの実から3億もの菌の胞子が飛ぶそうです。1つから3億ですよ。想像できない数ですよね。
これをほって置くと大変なことになるので、きちんとした防除が必要になります。
続いて、本州では大発生している病気の輪紋病(いぼかわ病)です。
枝幹のいぼ病班で越冬し、雨が降り病班がぬれると胞子を発生させ果実に感染します。
写真を見て分かるように輪紋状に腐敗していますよね。
枝幹の写真はないのですが、枝幹にいぼができるので、いぼ皮病とも呼ばれています。
その中でも、りんご組合では化学肥料や農薬を削減し、クリーンな農業栽培への取り組み『イエスクリーン栽培』も行うなどの取り組みを行っています。
イエスクリーンについてはこちら→http://www.yesclean.jp/
年々増え続ける、病気、害虫のなかでも農薬を減らし、安全・安心で消費者に届けられるよう努力をしておりますので、ぜひ秋にはよいち町のりんご食べてみてください。
実りの秋に向け、生産者も「やる気」がみなぎる、大変有意義な講習会になりました。
今回、青森より講師として来て頂きました奈良先生には、大変勉強になるお話しを聞かせて頂き、本当にありがとうございました。